逃亡犯との夜|A Night with a Fugitive

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第一章|Chapter 1

湿り気を帯びた古いアパートの一室。
無機質なニュースキャスターの声と、下品な咀嚼音だけが、耳障りなほど鮮明に響いている。

「――犯人は依然として逃走中であり……」

テレビの光が明滅するたび、部屋の隅に転がされた俺の巨体が影を落とす。
身長178cm、体重105kg。社会人アメフト選手としてプライドを持って鍛え上げてきたこの身体が、今は何重にも巻かれた縄によって無残な肉塊と化している。

「んぐ、ぅ……っ、ぐぅ……」

分厚い胸板が激しく上下し、鼻から荒い息が漏れる。口にはフェイスタオルが限界まで詰め込まれ、顎が外れそうなほど開かされている。唾液を吸って重くなったタオルが喉の奥を刺激し、吐き気と息苦しさが交互に押し寄せてくる。

後ろ手に縛り上げられた腕、丸太のような太腿、そして足首。鋼のように鍛えたはずの筋肉に麻縄が容赦なく食い込み、身体を揺することさえままならない。

視界の先には、座椅子に背を預けた男がいる。2mはありそうな身長に、大柄な俺よりさらに大柄な体型。その巨大な背中は、圧倒的な暴力の象徴ともいえそうだ。男はコンビニの弁当を貪り食いながら、まるで他人事のように自分の手配ニュースを眺めている。

3日前に隣街で起きた強盗殺人事件。その犯人が、今、俺の目の前にいる。

恐怖と屈辱の中で、数時間前の記憶が鮮烈に蘇る。

夕暮れ時、アメフトの練習を終えた気怠さと心地よい疲労感を抱えて帰宅した時のことだ。

エレベーターで4階へ上がり、廊下を歩いていた時、階段から上がってきた薄汚れたジャージ姿の大男とすれ違った。鋭い眼光。獣のような気配。俺は関わらない方が良いと直感し、足早に自分の部屋に向かった。

部屋の鍵を開け、靴を脱ごうとしたその瞬間・・・

「ぐあっ!?」

背後から巨大な質量が襲いかかってきた。

反応する間もなく、押し入ってきた大男に廊下へ叩きつけられる。
フィールドで当たり負けしたことなどない俺が、まるで子供のように組み敷かれた。
ゴツゴツとした巨大な掌が俺の口を覆い、耳元で低い声が囁く。

「死にたくなかったら騒ぐな」

圧倒的な腕力でマウントポジションを取られ、両手を背中へねじ上げられる。
抵抗しようと腕に力を込めるが、奴の体重と手慣れた関節技の前に、俺の筋肉の鎧は無力だった。

奴は玄関にかけてあった明日の仕事用のネクタイを乱暴に引き抜き、俺の手首を縛り上げた。
慣れた手つきで瞬く間に自由を奪われる。続いて1Kの狭い居室へ連行されると、洗濯してあったフェイスタオルを捻じり上げ、猿轡として口にねじ込まれた。

「んぐっ、んーっ!!」

声にならない悲鳴。首の後ろでタオルをキツく結ばれ、呼吸すらも苦しい。
さらに部屋にあった別のネクタイで両足首を揃えて縛られ、俺は身動きできなくなった。

部屋の中央に転がされた俺を尻目に、奴は冷蔵庫から勝手にコーラを取り出し、ラッパ飲みした。

「ふー、生き返ったぜ」

奴の盛大なゲップが部屋に響きわたる。
さらに俺のリュックから財布と鍵を抜き取ると、「兄ちゃん、悪りいがしばらく大人しくしてろ」と言い残し、部屋を出ていった。

静寂が戻った部屋で、俺は必死に動いた。

背中のネクタイを引きちぎろうと上腕二頭筋を極限まで膨張させる。
だが、生地が肉に食い込むばかりで切れる気配がない。芋虫のように身をよじり、腹筋の力だけで立ち上がる。バランスを崩して何度も床に膝をつきながら、ようやく机へと辿り着いた。

後ろ手に縛られたまま机の引き出しをまさぐり、冷たい金属の感触に触れる。ハサミだ。 長時間の緊張と安堵でへたり込み、呼吸を整えてから、必死で刃先を手首のネクタイに当てた。

「うぐっ……!」

見えない背中での作業は困難を極めた。刃先が皮膚を掠め、鋭い痛みが走る。それでも、奴が戻ってくるまでに逃げなければと手を動かし続けた。 ジョキ、ジョキ……。硬い繊維が少しずつ切れていく感触。
あと少し、あと少しで――。

ガチャリ。

無慈悲な解錠音が、俺の希望を断ち切った。
玄関のドアが開き、重たい足音が近づいてくる。奴が帰ってきたのだ。
白いポリ袋を提げた大男は、ハサミを握りしめて呆然とする俺を見下ろした。

「……ッ」

男の目が怒りに細められる。 次の瞬間、視界が弾けた。

バチンッ!!

重たい平手打ちが頬を襲う。
あまりの衝撃に俺の巨体が宙を舞うように倒れ、口の中に鉄の味が広がった。
男はハサミを取り上げると、顔を近づけ、ドスの効いた声で言った。

「大人しくしてろと、言ったはずだぞ」

男はポリ袋から、ホームセンターで買ってきた真新しいロープを取り出した。
その意図を察し、俺は恐怖に身をすくませる。

「ん、んーーっ!!!!」

男は再び俺に馬乗りになると、切れかかったネクタイを解き、代わりに太いロープを手首に巻き付けた。
ざらついた麻縄が皮膚を擦り、再び強く締め上げられる。

「暴れた罰だ。たっぷりと可愛がってやるよ」

手首、足首だけでは終わらなかった。
男は俺の上半身を起こすと、分厚い胸板にロープを這わせた。
鍛えた大胸筋の上を縄が走り、肺の中の空気を絞り出すように強く締め付けられる。

「ぐぅっ、ふぅーっ……!」

胸を締め上げられるたびに、苦悶の声が漏れる。
Tシャツの上からでも分かる隆起した筋肉が、縄によって無残に形を変えていく感覚が伝わってくる。

下半身には太腿にも縄が回された。
パンパンに張った大腿四頭筋に縄が食い込み、ハムのように肉が盛り上がる。

一通りの作業を終え、男は立ち上がった。
床には、手足も胴体もガチガチに戒められ、芋虫のように転がる大柄な俺の姿。
男はその光景を肴にするように、ねっとりとした視線で俺の全身を舐め回した。

「よし、これで動けんだろ」

満足げに呟き、男はニヤリと笑う。
その笑顔の不気味さと、身体に食い込む縄の圧迫感、そして逃げ場のない絶望感に、俺はただゆっくりと目を閉じることしかできなかった。

再び、ニュースの音が部屋に響き始める。
逃亡犯との、長く、重苦しい夜はまだ始まったばかりだった。

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