逃亡犯との夜|A Night with a Fugitive

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第二章|Chapter 2

深夜、テレビの放送が終了し、部屋は俺たちの荒い息遣いだけが支配する空間へと変わっていた。俺は依然として縛られたまま、男の背後に横たわっている。

突如、男がこちらを振り向き、俺の体を眺めながらボソッと呟いた。

「……いい体してやがる」

男の太い指が、ロープで強調された俺の大胸筋をなぞる。
恐怖で強張るはずの身体が、予想に反して熱を帯びていくのを感じた。
男の手は、まるで品定めをするかのように、腹筋の溝、そして太腿へと這っていく。

「んぐっ、ぅ……!」

拒絶の声を上げようとするが、タオルが深く噛まされた口からは、情けない喘ぎ声しか漏れてこない。
ひとしきり体を撫で回された後、男の体重がのしかかってきた。120kgはあろう巨体が、俺の105kgの身体を完全に制圧していた。
アメフトで鍛え上げた筋肉の鎧も、この圧倒的な暴力を前にしては、ただ感度を高めるための肉塊でしかないようだった。

男は俺のシャツを強引に引きちぎると、縄が食い込んで強調された胸板を、無精髭の生えたザラつく顎で擦り上げた。乳首がそれに触れるたび、鋭い刺激が背筋を駆け抜け、俺はビクリと身を跳ねさせた。

「ここが感じるのか? アメフト選手様よ」

男はニヤリと笑い、硬くなった突起を指先で執拗に弄り始めた。
痛みと快楽が混ざり合い、俺の思考は白く濁っていく。

「ほら、もっと声出してみろよ」

男の愛撫は次第に激しさを増していった。
後ろ手に縛られた腕が限界まで引き上げられ、肩関節が悲鳴を上げる。
男の巨大な手が、ズボンの上から俺の股間を鷲掴みにする。
抵抗しようと腰を振るが、太腿を何重にも巻かれたロープがそれを許さない。
むしろ、その動きが男を煽ることになってしまった。

「元気だな。そんなに縄が気に入ったか」

男は俺のズボンと下着を一気に引き下ろした。
露わになった下半身に、夜の冷たい空気が触れる。男の熱っぽい視線が俺のイチモツに注がれているのを感じ、羞恥心で顔が熱くなった。

男は俺の太腿の内側、敏感な内転筋を愛撫しながら、徐々に核心へと指を這わせていく。
逃亡中という極限状態にある男の体温は異常に高く、それが直接肌に触れるたびに、なぜか身体の芯が疼くような感じがした。

「んぐっ、んーっ!!!」

部屋に、くぐもった絶叫が響き渡る。
男の剛直が、俺の身体を内側から抉るように貫いていた。

「キツいな……鍛えてるのはケツだけじゃねぇのか」

男が腰を打ち付けるたびに、俺の巨体が大きく揺れ、縛られた縄が皮膚に食い込む。

痛み、圧迫感、そして男の圧倒的な質量。全てが混然一体となり、いつの間にかそれは、脳髄を焼き尽くすような快楽へと変質していた。

俺は涙と涎で顔をぐしゃぐしゃにしながら、男のリズムに合わせて腰を浮かせようとしていた。
屈辱的なはずの行為の中で、俺は確かに、この大男に支配されることに喜びを感じ始めていた。

男が獣のような唸り声を上げ、最後の突き上げを見舞う。
俺の中に出された熱い飛沫を感じながら、俺もまた、堰を切ったように白濁を吐き出した。

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